CGH!

ふと密林に立ち寄り、色々な方のマイリストを見ていて、目に止まったのが、

CGH! 1―Cactus go to Heaven! (Feelコミックス)

CGH! 1―Cactus go to Heaven! (Feelコミックス)

小池田マヤさん著の「CGH!」。
一見してこのイラストに惹かれましたが、少々線の荒いところもあるように感じて(ファンの方失礼なこと言ってすみません)、読み続けていけるかな〜と多少心配しましたが。そんな心配不要でした。独特な絵柄ではありますが綺麗に書かれてますし見ているうちにどんどんと愛着湧いて来ます。
読み始めからテンポのいい会話でさくっと持って行かれましたし、ストーリーの本質というか、登場人物の心情の表現力というか、とにかく色々な面で色々と秀逸で飽きさせない。で、調べてみたらこの方元々4コマ漫画を描かれている方なんですね。そんな感じは全く受けなかったです。ちょっと意外でした。
ほのぼのとした一巻に比べ巻を追うごとにシリアスさを増していくストーリーが私好み。根本に流れるテーマは決して軽いものではないしシリアスなんだけど会話にセンスがあり常に笑いを誘うので一切暗さは漂っていない。
でも切ないです・・・。
一度読み終わった後にもう一度最初からゆっくりと読み返したくなる、そしてもっと色んな方に読んで欲しい、と心底そう思わせるそんな本です。
えーと、この先簡単ですが感想になるのでネタばれします。これから読もうという方は読み終わってから見てくださいね。
一巻冒頭で水を口うつしで飲ませろ、と催促する千歳に月光が口付けるシーン。とても好きなシーンですが、月光が口に含んだ水を千歳に飲ませず自分で飲み込んんじゃって千歳が「てめぇが飲むのかよ!」って怒りますね。それに対して、「なんで俺が自分の女でもないのにそこまでしなきゃならないんだ」と月光が切り返す。だから想像してなかったんですよね。
・・・・まさかあのふたりが恋人同士(←これはアリかなと思っていた)どころか、夫婦だったなんて。思いっ切り役所も認める自分の女じゃないすか月光さん。
しかしあの夫婦、本当に魅力的ですね。なんだろう立ってるだけであのオーラは。半端ないです。
普段は甘さのないように見えるふたりが実は根底でしっかりと結ばれているあたりがいいです。ふたりとも結構好き勝手やっているように見えるけど実はその絆は誰よりも堅い。・・・夫婦の理想形と言っても大げさじゃないような気がしました。
ストーリーが奥深い。読み応え十分。
ラストの終わり方なんかはそこに行き着くまでにどんな経緯があったのか、読者の方で自由に解釈出来る終わり方になってます。
一番私が気に入ったのはキャラのいい意味での性格破綻具合と、それに伴う奇抜なセリフの応酬ですか。根底はシリアスだと分かっていもそのあたりでつい笑ってしまう。いい味出してます。
密林は新品だから高いな〜、と思い近くの古本屋さんに行ったら、私に向かって買ってくれと訴え掛けるかのように、ちょこんと一セツトだけ置いてありました。全五巻で千円と価格も手ごろだったので速攻で購入。一気に読んじゃいました。
千歳がね〜、格好いいなんてもんじゃなくて。ほとんど女性であることを忘れてましたね。でも月光に甘える時はやっぱり女性に見えます。本の中ではあんまり甘えてくれなかったですけど・・・。
実際には、千歳はもっと月光に甘えていたんじゃないかと思います。常に彼が傍にいて見守っていてくれたから、千歳は思うがまま振舞えたんだろうし自分の境遇に悲観的になったり卑屈になることもなかった。けれど月光に対する罪悪感は常にあったからそこが切ないし辛かったと思います。自分の所為で月光が好きに生きられない、自分が彼を縛っていると思っていましたから。自分が早くに天国に旅立てば月光を解放してやれるのに、と常日頃感じていたと思いますし。
子供が欲しい、と言っていた千歳の思いも女性とすれば当然の思いですよね。自分の遺伝子を残して確かにこの世に生きていた証が欲しいと思うのも分かりますしそれと同時に月光の遺伝子を残した存在が欲しいと思っていたんじゃないかな、と。愛していましたからね、千歳。彼のこと。
千歳の我が子へのお母さんぶりは是非見てみたかったです。月光は養子に対してそれなりにパパやっていたので見ることが出来ましたけど。千歳の母親っぷりも悪くはなかったんですが、あの必要以上のスキンシップ見てるとアイザックが二十歳になったら本当に近親相姦やっちゃいそうなんだもんなそれは避けようね千歳さん。
最終巻は泣きました・・・。表紙捲ると、他の巻は黄とか紫とか華やか色の紙が挟まれているのに、この巻は黒い紙が挟まれてる。喪に服してるよ、とそれ見ただけでその先が想像出来てそこで泣いて、実際最後まで読んでまた泣きました。
千歳も月光も魅力的。他の脇キャラも一癖も二癖もあり魅力的です。

興味を持たれた方は是非♪
拍手、ありがとうこざいました。
また来てくださいね!